#6 身体感覚の共有


パートナーの所属する教室が
小樽にあります。


最近、週1回、
金曜日に自分が小樽に行って
練習するようにしています。


       教室に入る前の、少し長めの通路と階段。
       通路に漂う、精神の沈静を誘うお香。
       フロアの中ほどにある、天井を支える柱。
       フロア以外にも、いくつもの部屋があり、何人かが住めそうな間取り。
  
教室ごとに雰囲気は違います。

うちのように、
ぴりぴりとした緊張感が他の要素に勝る教室もある。

パートナーの所属する教室のように、
居心地の良さ、楽さが勝る教室もある。


一般の仕事と違って、
家族経営の零細企業(日本の伝統的な小規模零細農家みたい)なので、

内装や調度品、教室内の雰囲気、それに好意的な客層など、

オーナーの趣向が教室という空間に
色濃く反映されています。
 

今週の日曜日(今日!)に
滝川で競技会があるので、
それに向けた練習をしています。

21時20分頃に教室に着き、
22時45分まで先生に見てもらいながら踊ります。

そして、

23時発の札幌行き最終電車に乗り、
約1時間かけて札幌に着く。

練習時間としては短いけど、
今の自分にとってはこれでも十分(体力的に)。

今回は、スタンダードだけ。

レッスンを受けるのが久し振りだったので、
いつも新しい発見の連続です。
 

右脇を立てる。
右脇を伸ばして女性を導いてやる。
頭は左肩越しに自分の背中を見るように。
相手の方に進むのではない。
内回りで後退する時は回転を遅く(相手を待つ)。

テレマークの時に、
右サイドが女性にかぶる。

常に同じ高さで。

フォックストロットの時は、
自分の身長より少し低い高さで踊る意識。

タンゴの時は、
進行方向(特に左グリップ)を引っ張られるイメージで、
伸ばして進んでいく意識で・・・


人間の身体は、
分からないことだらけ。


言葉で説明されて、
頭でイメージしようとする。

それを自分の身体感覚に照合し、
実際に自分の身体で再現しようとする。

運動競技で新しい動きを覚える時は、
だいたいこんなメカニズムなんでしょう。
 

身体感覚は人それぞれ。
 
先生が自分の感覚を共有して、
それに基づいた説明をすることは不可能だと思います。
 
身体感覚は極めて個人的なもの。

言葉を媒介して、
自分に固有の感覚に照らして、
その動きを再現するために試行錯誤するしかない。

と思います。


「先生はこう説明したけど、
自分にとってはこういう表現が自分の身体感覚にフィットするなー。」


「この動きについて、
この本ではこう説明してあるけど、
自分にとってはこの感覚にあたることかなー。」


ということを、
日々獲得していく作業の積み重ね。


なので、

こうして自分の身体に落とし込んだ感覚は、
自分にしか通用せず汎用性に欠ける反面、

他の人には真似できない自分独自の財産でもある
と言えそうです。


例えば、

               「体重を乗せる」

ということ。


ダンスをする上では、
あまりにも根本的で日常的に使われるこの表現です。

ぼくは、これが良く分かっていませんでした。
 

「体重を乗せる」とは、
1個の固定した状態ではなく、
様々なレヴェルがあるということ。

このことが良く分かっていませんでした。


これまでは

「体重を乗せろ!右足に乗れ!」

と言われると、

足に力を入れるだけで、
足や脚だけが疲れるだけでした。
 

1年くらい前に出合った「ナンバ」という動き。

その中で、

"腕を回す"、
"肩甲骨を落とす"

という表現に目が留まり、実践してみました。

飛躍的な効果、
とは言い難いのですが、
確実に自分の中で変化がありました。


                 肩甲骨から下りた"重み"が、
                 股関節を通り、
                 脚の筋を通り、
                 足に達し、
                 床と身体がつながった感覚を得る。


「体重を乗せる」とは、
こういう感覚かー。

と、感心した記憶があります。


伝える側が、
本来個人的な身体感覚を他の人と共有するために、
他の人との共通点を目指して提示された表現を、

受け取る側が共通点へ出向いていって、
メッセージを受け取って自分の感覚の領域に帰ってくる一連の機構が、

身体感覚という個人的な営為を
他の人と共有するメカニズムなんだと思っています。

 今日はこの辺でzzz

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