#42 旅行会という話型-物語を作る男4

この日曜日に、
選手会主催の旅行会がありました。

北湯沢の第2名水亭という、
北海道では、たぶんよく知られている温泉。
 
札幌から車を駆って、
2時間半くらい。 
 
好天に恵まれ、
青い青い空の下、
鮮やかな緑の道を駆け抜けました。

 
途中、峠で一休みをし、
名物の「揚げいも」を食べます。
 
人の分も食べて、
大きないもの塊を6個も食べてしまった。
 
でも、ソフトクリームは別腹です(笑)。 


蝦夷富士のシンメトリーが美しい。 
林道脇の幹の細い木々が
さらさらと後ろに流れていく。
 
遠くの景色に近くの景色。
 
どっちかにフォーカスすると、
どっちかが見えなくなる。
 
フォーカスから外された景色が、
視界の中で背景になる。
 
瞳には映るけど、
脳みそがとらえられなくなった景色。


窓外に、そんな光景を見ています。

 
     景色を見る自分が一人称。
     近くの景色が二人称。
     遠くの景色が三人称。
 

柳田邦男
さんが言っていた


     「2.5人称の視点


というのを想起しました。

 
近くと遠くの間。
近くも遠くもどっちも同時に見たい。


それにしても、
2年ぶりの旅行会。
 
楽しみなようでもあり、
憂鬱なようでもある。

 
何かの団体、組織があって、
イベントに人(組織の内部の人)が集まるということは、

集まってくる人達に、

     ある特定の物語が共有されている

ということなんだと思います。

 
選手会には、

     「北海道のダンス界を盛り上げる」

という大きな目標があります。


理念というか、
社会的に求められる機能というか。
 
具体的には、

     「ダンス教室に通う生徒さんを増やす」とか、
     「日本のトップクラスに食い込める選手を多く輩出する」とか。

そういう具体的な目標の達成を通じて、
大きな目標を達成しようとする。

それが、選手会の方法論だと思います。

 
そして、

こういった旅行会で、
選手同士が交流をする。
 
話をして交流して、
お互いのダンスに対する
姿勢を披露し合って刺激を交換し、

お互いの人となりを知って
ダンスに留まらない個人的な付き合いになったりして、

それらが、大きな目標の達成に役立つようにと願う。
 

旅行会は、
そんな位置付けだと思います。

 
午後3時前に、
ホテルに到着。
 
さっそく温泉に入ります。

 
     脚部を通して上ってくる温熱、
     ザンザンと湧き出る温泉の音、
     木々の間を縫って射し込んでくる柔らかな西日、
     頭から雨滴のようにぼたぼたと流れて落ちる透明な汗。
 

その1つ1つが感覚をぼんやりさせ、
今、ここにいる自分を
別の次元に連れ去っていくようです。

今、

自分の手に残された感覚は
何も無くなってしまったように思えてきます。

唯一自覚できそうなものは、
湯から上がった後の爽快感を得るための、
「溜め」のような意思だけ。


旅行会とは、

互いに親交を深め、
年間行事や来月に迫る
選手会主催のチャリティーフェスティバルの成功などに
つなげていくための、
スプリングボードである、

という物語。

この旅行会に参加した人達は、
意識するしないに関わらず、
間違いなくその物語の登場人物であり、
主人公。
 

旅行会は、

     「北海道のダンス界を盛り上げる」

という大きな物語の中の、1つの話型。


逆に言うと、
参加者をつなぐ共通の物語が見出せない時、
人は決して集まらないと思う。


「なぜこの旅行会に参加したのか?」

と問われると、

自分はきっと、

     「楽しそうだから」
     「無料だから」
     「温泉に入りたいから」
     「〇〇と会って話したいから」

なんかの回答をすると思います。

というか、
すぐに答えが出てこないと思います。
それに、出てきた答えも、
どれもしっくり来ないと思います。

 
でも。

誰にとっても、
確実に言えるのは、

      「北海道のダンス界で日々の糧を得て生きている者同士、
      お互いに共有するある物語(北海道のダンス界を盛り上げる)があって、
      それに対する義務感や責任感、使命感や向上心、
      もしかしたら憐憫や同情、侮蔑といった、
      様々な態度、感情が、底流で作用している」

ということ。

 
「北海道のダンス界」といった、
自分の身の回りにあるものよりは少し高次元にある目標を、
これ見よがしに意識してこの旅行会に臨む人は少ないと思うけど、

組織の掲げる大きな目標と自分の判断が、
切っても切れない関係になっているということには、
自覚的でありたいと思っています。


「ただ、楽しむためだけに行くんだ!」

という人でも、
組織の打ち出す理念、物語からは自由ではないはず。

組織の提供する物語に、
どの程度コミットするかは個人の問題だけど、
ゼロコミットメントはあり得ないということ。
 

ということは、

どんなに自由に振舞っているつもりでも、
所属する組織の理念に規定される部分は
少なからずあるということ。
 

自分の所属する組織、団体の目標から
距離をとって生きているつもりでも
それは不可能で、

時には、
その組織を代表した物言いを求められるということ。

 
そのことは、
 
     「日本と自分」とか、
     「北海道と自分」とか、
     「家族と自分」とか

についても
同じだと思います。


どんなに無関係にいようとしても、
深い所で、自分の思考や行動を規定しているはずです。

 
「日本なんか自分に関係ない~」

と思っていても、
外国の人と話すと、

「何で日本人はひそひそと話すんですか?」

などの質問を受け、
それに対して"日本代表"として回答しなければならなくなる。

どんなに

「自分個人としては・・・」

という但し書きをつけたとしても、
回答を聞く側は、
紛れも無い"日本代表"の意見として聞くはずですね。

 
いくら、北海道のダンス界の行く末について、
自分が何か意見を持つことを避けていたとしても、

外部の人から

「最近、北海道のダンス界は元気が無いね~」

と言われたら、

自分には"北海道のダンス界代表"としての言を
期待されるはずです。

望む望まないに関係なく、
自分の所属する組織を背負っているということ。

 
そういうことを、
自覚していたいと思っています。

 
6時に始まった懇親会は、
7時を前にして、
"利きビール大会"に移っていきました。


       エビス、
       プレミアムモルツ、
       キリン一番搾り、
       アサヒスーパードライ、
       麦とホップ(これだけ発泡酒)


の5つのうち、
自分が飲んだのはどれかを当てるゲーム。
 

同じブロックの代表として、
ビールを利きに壇上に上がる。
 
今、
自分が飲んだものが
エビスビールであることを、
自信を持って告げる。
 

しかし、不正解。
 
自分が飲んだのは、

「麦とホップ」らしい。
 
発泡酒を飲んで、
エビスと間違えるなんて・・・
 

何て安上がりな舌なんや~


寝たのは、
次の日の朝4時過ぎ。
 
8時発の札幌行きのバスに乗り、
10時半前に到着。
 
そこから職場に直行して、
疲労と眠気で、
とてもとても辛い1日を送りました・・・


 今回はこの辺でzzz

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