#63 夏の小樽-JR・潮祭り・社交ダンス


午後9時20分にJR小樽駅に到着。


駅前にある広場になったスペースには、

誰かを迎えに来た車や、何台もの路線バスが動いたり止まったりして、

この時間にしては賑やかな印象だ。

 

それにしても、来る度に、うす紅色の提灯が増えている気がする。

街路に沿って連なったものの他に、やぐら状にかためられた提灯もある。


潮(うしお)祭が近いようだ。

 

 

【見せつけろ!潮魂!潮の炎!】


という、キャッチーな(?)コピーが踊るポスターが、

街の至る所に貼られている。

この季節の小樽の風物詩。

 

男心をくすぐられ、

「よし!おれもやってやる!」と、

勝手に盛り上がる。


そういえば、小樽の社交ダンスの先生方も

"練りこみ"(踊りながら小樽の街を練り歩くこと)の練習をしていた。

 

こてこての盆踊りの曲に合わせて、

2本のばちを手に跳ねたりまわったり。

 

小樽のダンス教室の先生が振り付けを考えて、

それを各教室の生徒さんに教えて、

総勢80人くらい(ほとんどがおじいちゃんとかおばあちゃんとか?)の大集団で

練り歩くというイベント。


すごいイベントだ。

 

地方の空洞化が進む現在、小樽も例外ではない。

 

潮祭も年々寂しくなっているみたいだし、

観光客の往来があるとはいえ、

街も産業が興隆している状態とは言い難い。

 

そんな中、80人の老若男女が夏祭りで街を練り歩く。

 

想像するとすごい光景だ。

 

それも、他にもいくつもの団体が、この"練りこみ"に参加するらしい。

 

高知のよさこい祭、札幌のよさこいソーラン祭、

青森のねぶた祭、弘前のねぷた祭・・・

 

それらよりは規模は小さいだろうけど、

何かのエネルギーが放出されているらしいことは分かる。

 

"踊り"とは、

内にある何か(エネルギーと呼ばれることが多い)を外に発するのに、

とても適した方法らしい。

 

"祭"、"踊り"という姿を借りて、

この街に眠る不可視のエネルギーが表出しているようだ。


北海道に来て10年。

未だ知らざる、小樽という街の一面を知った気がする。 

 

練習を終えて、帰路につく。

 

まるでサウナに入ったように汗を流し、

その流れが治まる前に身支度をした。

 

気持ち悪いけどしょうがない。

終電車に乗り遅れては大変だ。


出発5分前に車内にin。

 

モモ裏、ヒザ裏に走っているリンパの筋に、

"(老廃物)流れろ流れろ"と念じながら、揉んで刺激を与える。


酷使した脚部が、ボワーッと熱を帯び、麻痺しているみたい。

 

一度座ると立ち上がれなくなりそうな感覚になる。

 

ドラえもんの道具に、

"ゴルゴンの首"というのがあったのを思い出した。

 

脚にその光を当てると、石化して疲れを感じなくなるやつ。

 

ちょっと、欲しい。


それにしても、


社交ダンスは、なぜ、2人で踊るんだろうか?

3人で踊るという選択肢はなかったんだろうか?

なぜ、男性と女性が踊るということになったんだろうか?

なぜ、女性が男性の代わりに踊ったとしても、

"男役"として認識されるんだろうか?

 

女性と女性が踊るダンスというものが発展していくきっかけは、

歴史の中になかったんだろうか?

 

逆に、男性と男性とか。 

 

人はなぜ、人前で踊りたいと思うのに、

人に見られるのを恥ずかしがるんだろうか?  

 

なぜ、人に見られるのを恥ずかしいと思っているのに、

人前で踊りたがるんだろうか?

 

なぜ、うまくいかない時にけんかになるんだろうか?

 

なぜ、うまくいかない原因を"あなたと私のどっちかのせい"と、

2者択一で究明しようとするんだろうか?

  


こう考えると、

社交ダンスにまつわる諸々の営みは、

擬似恋愛、擬似結婚のような様相だ。



そんなことを思い浮かべながら、うとうとzzz


午後12時直前に、札幌駅に到着。

 

他方面への終電車に駆け込む人達。

地下鉄に急ぐ人達。


なんか、今日はいつもより混雑している。

 

みんな走っている。

 

改札に向かう人はみんな走っていて、

改札から離れる人はみんな歩いている。

 

必死の形相で走る人。

自分に向かって走ってくる人。

 

子どもの時に見た、

パニック・イン・スタジアム』という映画(確かこんなタイトル)

を思い出した。


スタジアムから、大勢の人間が一斉に逃げ出すというシーン。

狭い通路、狭い出口に一斉に向かう群衆。

 

その途中で、競争に敗れた人達が、

プレスされてつぶされて次々に肉の塊になっていった。

子ども心に、ぞわぞわっとした記憶がある。


最近では、

恩田陸さんの『Q&A』。

 

こっちは、大型ショッピングモールからの脱出。


大勢の人間が、何かの恐怖に駆られ、一斉に走り出す。

それ自体が恐ろしい。


閉鎖直前の札幌駅。

出口近くの洗面所に立ち寄る。

長い長い洗面台の奥にあるトイレ。

空調機の"ブーン"という音だけが不気味に響く。

 

自分の他に誰もいない。 

ついさっきまでそこにあった喧騒から、

不思議なくらい遮断されている。


今にも消え入りそうな蛍光灯が、

壁面の緑と相まって何とも異様な光景を映している。

 

雨上がりの肌寒さがその恐怖を助長する。


誰もいない。

逃げるように外へ出た。

 


外へ出ると、霧雨。

傘はさすほどでもないか。

 

工藤静香の

ICE RAIN』を無意識に口にする。


自転車がパンクしたので、

そこからは歩いて家まで。

 

今回はこの辺でzzz


 

ようやく、ブログを引越しすることにしました。

mixiから、so-net。

so-netから、独自ドメイン。

2回目の引越しです。


 http://ainoue.net/


今後ともよろしくお願いします。

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