#93 無意識の営業マン-社交ダンス界に流通する価値観1

 


営業って大変だ。

 

欲しいかどうか分からない人に、

自分の持っているものを買ってもらうんだから。

 

なんとなーく欲しいと思っていた人でも、

実際に現実の形として目の前に差し出すと、

「自分が思っていたのはこんなんじゃない。」と言って、

去っていくこともある。

 

でも、営業しないと知ってもらえない。

 

自分の持っている価値ある(自分がおもしろいと思っている)ものも、

営業して存在を知ってもらわないと、

無いものと一緒。


ぼくは本当に苦手です。

営業が。

 

でも、得意な人っているんだろうか。


社交ダンスの教師は、

"自分"というブランドを管理するオーナーでもあるし、

それを宣伝して売って歩く営業マンでもある。

 

だから、

自分で仕事をとってきて、

自分でスケジュールを管理して、

自分で経営収支を検討して、

自分で今後の事業計画を立てる。

 

その中でも、

営業はとても大事。



自分に即して考えると。

 

社交ダンス教師である自分が、

知ってほしい、買ってほしいと思うもの。

 

イチオシ商品というか、

キャンペーン品というか。

 

        自分と踊ってみたいと思ってもらうこと。

        自分との交流を通じてダンスが上達すると

        思ってもらうこと。

        自分を応援したいと思ってもらえること。

        自分と話をしたいと思ってもらえること。


そんなところ。

 

こういうのを、売り物にしている。

 

自分の中にある無形のもの

(ダンスの技術とか、性格とか、相性とか)

が商品。

 

自分に自信があればやりやすいだろうし、

自信が無ければやり辛いんでしょう。 


 

        「これまでの人生をどれだけ厚く送ってきたか」

 

営業するうえでは、

そんな所まで求められると思う。


ホストのような世界。

 

ただ、

ホストの世界と違うのは、

「ダンス」というものが間に入っている所。

 

これが決定的に違う。


その教師自身との触れ合いを求めてやってくる人もいれば、

純粋に"ダンスのお稽古"を求めてやってくる人もいる。

 

ホストの世界よりも、

オプションが少なくとも1つ多くある世界とも言える。



自分が何かを営業されるならどうだろうか。


熱っぽいと、暑苦しくてうっとうしくて

早く帰ってほしくなる。

 

たどたどしいと、幼稚っぽくて

適当にあしらいたくなる。


ちょうど良い加減があるんでしょう。

人それぞれに。


ちょうど良い、

営業のされ具合というか。



その人その人の、

        ちょうど良い"営業のされ具合"

を探っていく。

 

それが出来ないと営業できないんだろうな。


ところで。


「営業」で連想。



人に対して、自分に対して意見を言う時、

自分が何の圧力の一部になって、

何かの圧力の宣伝マンになっているのか。

 

それに自覚的でありたいと思う。


「信念」とか、「プライド」といった美名に隠されて、

そうやって発せられる言葉が、

実は何かの圧力の一部になって、

相手や自分にプレッシャーをかけるという構図。

 

そんなことはかなり多いと思う。


例えば。


        「男らしくしろ。」

 

といった格言めいた言葉を使う時。

 

"正しい"意見なのかもしれないけど、

状況によっては、相手を苦しめる、ただの圧力になる。



社交ダンスの世界では、


          「男は男らしく、女は女らしく。」

 

そういった価値観が礼賛されている。

 

男には、

背筋を伸ばした力強い立ち姿を求められ、


女には、

強くありながらも曲線の美しさが求められる。

 

男には直線的なライン、

女には曲線的なライン。


こういったステレオタイプ的な"男像""女像"が要求される。


ジェンダーフリーが謳われる現在、

前近代的という人もいるかもしれない。

 

自分にとってはどっちでも良い。


ただ、社交ダンスの世界ではそうなんだなーというだけの話。


社交ダンスの世界では、

こういった定型をなぞる行為が要求されている。

 

人によっては、

それを圧力に感じ、

「何でこんな仕草をしないといけないの?自分の好きに踊らせてよ。」

的な意見の人もいるはずだ。

 


自分の内部からピュアに発せられた言葉じゃなくて、

何かの価値観を代表する意見であったり、

誰かの描いた計画を推し進める事に荷担する言葉であったり、


きっと、


誰かが何かの目的で

(例えば、ある商品を売れるようにするために)

考えた価値観

(例えば、男は男らしくしろ!とか。

 逆に男が化粧して何が悪い!とか。)を、


知らず知らずに代弁しているだけなのかもしれないということに、

自覚的でありたいということ。


 

他にも、

社交ダンスの世界で"常識"になっていることがあると思う。

 

それらについて、少し書いていければ、

と思っています。

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