#94 スタンダード・ラテンというセクション1-社交ダンス界に流通する価値観2

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≪近所の公園。葉っぱの緑と川の流れが美しい。≫

札幌はすっかり涼しくなってしまいました。

特に夜。
  

短かった夏を懐かしみ、

これから来る予定の寒い季節に備えねば。
 
木々の緑や、空の青。
そういった色彩を今のうちに楽しんでおこうと思います。

  

今回からは、2回に分けて、

社交ダンスの世界ではもう当たり前のことになっている、

"セクション分け"について、

何かを考えていきたいと思います。

*************************************

社交ダンスには、現在、2つのセクションがある。

        スタンダードとラテンアメリカン。

この2つ。

スタンダード(以前は"モダン"と呼ばれていた)は、

男性はテールコートを着て、蝶ネクタイをして。
  

女性は足元まで隠れるような、

大きなきらびやかなドレスを着て。
  

種目は、

         ワルツ、タンゴ、スローフォックストロット、

         クイックステップ、ウィンナーワルツの5種。
 

いわゆる"社交ダンス"。


ラテンアメリカン(通称ラテン)は、

男性も女性も露出の多い派手な衣装に身を包み、

これでもか、

というぐらいに身体の線を強調することが競い合うセクション。
 

種目は、 

         チャチャチャ、サンバ、ルンバ、

         パソ・ドブレ、ジャイブの5種。
 
どっちに重点を置くかはその人、

そのカップルの戦略にもよるけど、

基本的にスタンダードが出来ないと、

プロとしての収入は確保しづらい。
 

理由は、

 

①スタンダードは、

 競技選手としても長く取り組む事が出来るセクションである、

 ということ。
 

②教室に通ってくる生徒さんが望むのは、

 圧倒的にスタンダードが多い、

 ということ。

 

この2点でしょうか。

 

だから、

ほとんどのプロ(インストラクター兼競技選手)は

両方を勉強し、練習する。

 

この意味で、

2つのセクションは非対称。

同等ではない。

 

補足すると、

 

①ラテンがサッカー(とにかく激しく動き回る)だとすると、

 スタンダードは野球

 (サッカーに比べればそんなに常に動き回っているわけではない)。

 ということをよく聞く。
 

その意味で、

現役生活をより長く続けられるセクションは、

ラテンではなくスタンダード。

平均的に、

ラテンを引退するのが30代半ばで、スタンダードは40前後。

スタンダードの方が長い。

 

②優雅に、しっとりと。

 そんな雰囲気に浸りながら、

 お気に入りの先生とくっついて、

 美しい曲に合わせてステップを踏む。

 お姫様のような衣装に身を包んで。
 

 それが出来るのは、

 ラテンではなくてスタンダード。


こういった"セクション分け"について、

何か問いを立てるなら、何があるだろうか。
 
 

例えば

         「なぜ、セクション分けがあるのか?」。

これは素直すぎる。
 

それに、あんまりおもしろくなさそうだ。

 

         「そもそも"セクション分け"とは何か?」。

これは、ストイックすぎる。
 

別の場面で考えたいと思うけど、今は保留。

 

         「"セクション分け"は、何をもたらすか?」

これは、まだ良さそうか。   

 

"セクション分け"を、

「まあ、ジャンル分けだろうな。」的な理解に留めておいて、

そこから先に発展しそうな問いを探したほうが良いみたい。

 

では、

社交ダンスを、

ラテンとスタンダードという2つのセクションに分割したことは、

何をもたらしたんだろうか?

どんな現象を生んだんだろうか?
 
ひとまず思い付くのは。

そのセクションに積極的に取り組む人の性格を表す、

"ラベル"の役割を持つようになったということ。

 

難しく言うと

         性格の表象作用。

 

これを生んだような気がする。

         ラテンを好きな人、得意な人は〇〇な人。
         スタンダードを好きな人、得意な人は□□な人。


こんな感じで、

その人を表す"ラベル"、"タグ"、"記号"みたいなものになったということ。

 

2つのセクションがあることによって、

どっちを得意とするか、好きに思うかで、

その人の性格や信条を表すことが出来る

という図式が出来上がったということ。

 

スタンダードを好きな人は、理論的、理性的、紳士的。
他にも。
冷静。慎重。大人しい(?)。A型が多そう・・・

 

ラテンを好きな人は、本能的、野性的、情熱的。
他にも。
ノリが良い。リズミカル。芸達者。B型が多そう(?)・・・

そんなイメージ。
 
当たらずとも遠からず。
そんな感じになっている。


もしかしたら、

      「ラテンマン(ラテンをメインに取り組む人)は、

       肉食系のようにぎらぎらして、がつがつする

       イメージが世の中で持たれているから、

       それに合わせて自分もそういうキャラ作りをするか・・・」

 

という心的傾向が、

無意識のうちに作用しているのかもしれない。
 

いや、絶対あると思う。

 

自分の外にあるイメージを参照項に、

それに同化しようとする行為。
 
 

社交ダンス教師らしさ。男らしさ。女らしさ。父親らしさ。母親らしさ。子どもらしさ。公務員らしさ。主婦らしさ。札幌に住む人らしさ。日本人らしさ・・・

 

どのように振舞えば良いか分からない時、

外にある"〇〇らしさ"を参考に、

それを模倣しようとする行為。


社会の中で生きていく上では、

とても合理的な戦略なんでしょう。 
 

難を逃れるというか。

コミュニティーにとけ込めるというか。

 
セクション分けには、

そんな意味合いもあるようです。
 

次回は、この分類についてもう少し考えてみたいと思います。

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