#72 社交ダンスと"この世界のサクセスモデル"2


昨日で7月も終わり。 

213年ぶりだという2度の丑の日も終わり、

新たな気持ちで次の月を迎える。

(今年はうなぎをいっぱい食べる事ができた。幸せだ・・)


昨日は、

社交ダンスの世界で生きていく

(教師として選手として生計を立てていく)

うえで、

みんなに紡がれている物語を描き出してみました。

 

           みんなが乗っかっているレール。 

           みんなが生きているストーリー。

           みんなが目指している物語。

 

将来像というか未来図というか青写真というか、

そういったビジョンのようなものを描き出してみました。

 

そして、

 

この社交ダンスの世界に生きる人が、

そのうちのどれかの話型に分類されるらしい

 

ということも書いてみました。

 

社交ダンスの世界を知らない人にとっては、

 

"じゃあ、自分の今所属する世界では、

どんな物語が理想としてみんなに支持されているのだろうか?"

 

と考えるきっかけになれば。

 

 

社交ダンスの世界に生きる人にとっては、

 

"自分はどれに分類されるんだろうか?これっぽいな・・・

けど、自分の現実に照らすと、「家庭(パートナー)」が欠如してるな・・・。

いや、でも、自分は「家庭(パートナー)」が欠如していても、

当面の相手と夢を追うだけで満たされているから、

この分類は部分的にしか当てはまらないかも。"

 

とかいった、

自分の立ち位置を確認して

そこから次の行動を発想する参照項になれればと思っています。


こういった試みを続けることで、

社交ダンスの世界の中にいる人にも外にいる人にも、

生きていくうえでの役に立てればと思っています。


今回はその続き。


社交ダンスの世界で生きていくために、

前回は3つの要素を挙げてみました。

 

物語は6つ挙げたけど、

構造としては、

3つの要素のうち、どれか1つでも欠けてはいけない、

という点では同じ話型。

 

3つの要素が登場する順番が違うというだけの違い。

 

自分はその中でも、

 

3番目の「家庭」、

つまり、

パートナーの有無をとても大切な条件だと考えています。

 

なので、

自分が今生きようとしているシナリオは、

 

            「ⅰ-A①夢→②収入→③家庭」。

 

自分に限らず、

この世界に生きるだいたいの人は

これを理想に据えているみたいです。


このシナリオをもう少し進めて表現すると、

 

            パートナーシップを組む

        →  パートナーとの関係を良好にする

        →  恋仲になる、夫婦になる

        →  独立してスタジオをオープンする 

                 + 

            北海道を代表するカップルになる

 

        →  若いスタッフを雇う(自分の代わりに働いてもらう)

        →  経営に専念する

        →  スタジオにお客さんがたくさん来てくれて、

            お客さんとスタッフが幸せになるために

            どうすれば良いかを考える

 

        →  具体的な企画を考えながら、

            各方面とやり取りし、

            年間の事業のスケジュールを計画していく。・・・


こんな感じになるでしょうか。


だいたいみんな、

こんな流れで将来像を、

ぼんやりと、人によってははっきりと考えていると思います。


日本で社交ダンス教師という職業が誕生してから、

おそらく今まで、

ずーっと語り継がれてきたサクセスへの物語。

 

バリエーションを生みながらも、

基本的には変わらない物語。

 

これが、

これまでの社交ダンス界で

支配的だったサクセスモデルだと思います。


目を転じて、

 

日本全体を見てみます。

 

社交ダンス界の上位に広がる、

 

            日本という世界で支配的だった物語。

 

 

それは。


「良い高校に入って、良い大学に入って、20代前半に良い企業に就職して、

20代後半くらいに結婚して子どもを2、3人つくって、

順調に出世して、業界でそれなりの地位について、

子どもが成人して就職する頃にはめでたく定年退職して・・・」


そんな物語。

 

これが支配的だった時代は、

大勢の人が同じ物語を生きていた時代。


本田由紀さんは、

 

この物語に「戦後日本型循環モデル」という名前を付けて、

今この物語が破綻しつつあることを指摘しています。

 

今まさにその時代の中で生きる自分としては、

改めて指摘されなくても

 

「今までのモデルはなんか無理っぽい。」

 

という実感はあります。


社交ダンス界の外に広がる大きな日本という世界で、

こういった物語が支持されていたということは、

社交ダンス界でもその影響を受けて、

同型の物語が採用されたと考えるのが道理だと思います。

 

そして、

 

外に広がる大きな世界で、

このような「物語のチェンジ」

(専門的に言うとパラダイムシフトと言うんだろうか)

が進行しているということは、

 

社交ダンス界で支配的だったモデルも破綻をきたしているのでは、

と疑ってみることは間違いではないと思っています。

 

つまり、

前回挙げた、

社交ダンスの世界で広く採用されている物語は、

そろそろその賞味期限を迎えたんじゃないかと。

 

もちろん、

世界に根付いた仕組みというものは、

一瞬で変わるものじゃないから、

これから何年もかけて徐々に変化していくんだと思います。

 

これからも、

 

この物語

(例えば、好きな相手がいて、一緒にできる好きなダンスの仕事があって、

それで生計を立てていける)

 

は、機能していくだろうし、

 

新たにこの世界に名乗りを上げてくる若者たちに目指されていくはず。

 

そして、

これからも、

長期的なビジョンを描く上での「なぞるべき定型」となって、

圧力化し続けるはず。

 

 

でも、

その物語を採用する人は今以上に減っていくと思います。

 

積極的に採用を拒絶する人、

採用してその物語を生きたいんだけど断念せざるを得ない人

(このタイプが多いと思う)、

 

動機は様々だと思うけど、

この物語が今のように支配的な位置に留まる事は

なくなっていくんじゃないかと思っています。

 

 

例えば、具体的には、


●夫婦ではなく1人でスタジオをオープンして、

 フルタイム、パートタイム問わず、それで生計を立てる場合や、

 

●競技会に出るパートナーはあくまで仕事上の同僚で、

 人生のパートナーは社交ダンスの世界の外にいるという場合や、

 

●自分は社交ダンス教室の経営以外に別の仕事を持っていて、

 そっちにかかりっきりで、

 スタジオ経営の実務に関しては、

 スタッフに任せる(場所だけ提供)という場合


等々。


こういった、

従来の定型から"はみ出した"例がこれからどんどん出てくると思います。

 

というより出てきてほしい。


ひとまず、

現時点の支配的な物語への

同化の圧力が及ぶ範囲は減っていくと思っています。

 

というより、

減っていっても良いんじゃないかと思っています。

 

多様な生き方、考え方を称揚するのであれば、

むしろそうであった方が良いですよね。


ある1つの物語が、

その世界に生きる人に対して専制的に作用するという時代は、

いい加減終わりにした方が良いんじゃないか。

 

でないと、

その物語をうまく演じられる自分に対して、

"あるべき自分"とか、"本当の自分"とかいった名前を付けて、

常に頭に描いて、

 

もしも、そこからはみ出してしまった時に、

同じ物語を共有している周囲の人や自分から、

非難、中傷、叱責を受け続けることになってしまうんじゃないか。

 

 

そんなの辛すぎると思います。

それを我慢するのは美徳ではないと思います。


従来の定型にうまく適応できなかった自分としては、

新たなストーリーを現実的に求めざるを得ないし、

新たな物語を模索するということは、

まさに死活問題。


そんなことを思っています。

 

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