今、社交ダンス界で、なぜ"カップル解消"が増えているんだろうか。
前回はそんなことを思ってみた。
特に自分の世代。
20代半ばから30代半ばくらいまでの選手。
この間の年齢の社交ダンスのインストラクター兼、競技選手。
(なぜ、この年代かと言うと、それ以上の年代は、だいたいみんな結婚してるし、結婚してないまでも、パートナーシップが10年以上のカップルが多いから"事実婚"のような形になっている。)
社交ダンスのカップルには、恋仲になっているカップルもあるし、すでに結婚して籍を入れているカップルもある。そして、自分達のように、別に恋仲でもないし、これからもたぶんそうはならないであろうカップルもいる。
こういったカップルが、解消する、という現象。
結婚しているカップルなら、離婚という手続きも伴う。
なぜ、そんなことが起こるんだろうか。
その背景には何があるんだろうか。
そんなことを思う。
結構、真剣に考えてみたいと思う。
だって、2人で1つの世界だから。
2人で1つのブランドを形成して、お客さんに、審査員に売り込んでいく職業だから。
それだけ、真剣に考える価値はあると思う。
「そんなの考えたってしょうがない。」とか、
「やっぱり、2人の相性の問題だ。」とか、
「どっちかに問題があったんだ。」とか、
そういう応答で解決したことにしようとする、内外からの圧力に屈したくないと思う。
こういう答えでは、納得できない。
本当にそう思う。
というより、こういう答えをするのは、「残念そうな顔をしてその実、パートナーシップがうまく続かなかった事に対して、どちらかを(もしくは両方を)責めている人」の特徴だと思っている。
表面的には、「仕方ない!次を考えろ!」的なさっぱりした態度をとりながら、内面でどちらかに責任を求めるような態度を端々に出してしまう人の特徴だと思う。
そういう場面を何度か見てきたので、そうはなりたくないと思っている。
もっと考えたい。
「そんなの考えすぎだ。」
と言われるのは、全然的外れだと思う。
むしろ、考えなさ過ぎ。
もしくは、考える方向性、方法が違う。
のどちらか。
ちょっと脱線。
今回は、目の前に起きている現象について、ただ「何でだろう?」と思った感覚。
こういう問いかけは、宝だと思っている。
忘れてしまうにはもったいない。
日々の忙しさに流してしまうにはもったいない。
そう思う。
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それにしても、なぜ、解消する人が増えたんだろうか?
自分も含めて。
仮説だけど、結論を先に言えば、「"仕事"と"結婚"を分けて考えられる人が、増えてきたから」だと思っている。
以前、社交ダンスの世界では、
①競技会での成績(夢)
②営業成績の向上(収入)
③家庭
の3つの果実を、同時に目指せるということを書いた(『夢・収入・家庭という目的』1・2)。
社交ダンスの教師兼選手を職業にしている人にとって、①②③を同時に目指せるのが美点だということを。
これまでは、「社交ダンスの世界で仕事をすること」と、「ダンスのパートナーと結婚する」ということは、ほぼ同じ意味に近かった。
例えば、サークル(グループレッスン)を開講するにしても、男1人よりも、パートナーが一緒に来る方が、生徒さんにとっては安心だし、何より2人で"お手本"を見せる事が出来る。
社交ダンスの仕事をする上で、相手が恋人もしくは人生のパートナーであるということは、とても合理的なこと。都合の良いこと。
これは前にも書いたように、パートナーと親密な関係になる事は、この世界で生きる定型となっている。この世界で生きるには、こういう行動をしないといけない、みたいなもの。
ここでは、「仕事」にあたるものが①②。
「結婚」にあたるものが③。
つまり、仕事(①②)と結婚(③)を分けて考えられるということは、
仕事:「競技会での成績(①)と、営業成績の向上(生徒さんからの評判が高くなってたくさんの生徒を抱える:②)」ことと、
家庭:「人生のパートナーを得て、幸せな家庭を築いて運営していく(③)」
という2つのものを切り離して考えられる思考回路を持っているということ。
「ダンスもしたいし、大会にも出たい。けど、やめたくなったらやめるし、外に(社交ダンスの世界の外に)好きな人が出来たらやめる。」
そういう考え方の人が増えたということ。
俗な言い方をすると、割り切った考え方の人が増えたということ。
プロとしてダンスをするうえで、悲壮感を一切排除した考え方を出来る人が増えたということ。
プロとしてダンスをすることを、いくつもある自分の人生のチャンネルのうちの1つだと考えられる人が増えたということ。
ちょっとおおげさだけど、そういう仮説をもってこの現象を見ていきたいと思う。
「お互いに別に何とも思っていない男と女が、恋人のように振舞うことが前提とされた世界。恋仲への転化や結婚が構造化された世界。」
であるにも関わらず、こういう構造化の圧力(恋仲になる、夫婦になることへの内外からの無言の圧力)があるにも関わらず、その圧力を弾き飛ばして、カップル解消に至る理由。
極端に言えば、「何もしなくても、この世界にいて、ただカップルを維持して何年かパートナーシップを続けていけば、結婚に至るお膳立てが勝手に仕上がっている」という環境にあるにも関わらず、それをはねのけて、解消に至る理由。
そこには、きっと、こういった"仕事"と"結婚"の切り替えがあるからなんだと思う。
それが出来る人が出てきたからだと思う。
今の40代以上の先生方(だいたい20代でカップル結成して、そのうちに恋仲になって結婚して、競技会に出続け、努力の末、好成績を維持し、引退前後に独立してスタジオを開いて、夫婦2人で経営する日々を送る人達)は、この切り替えの方向に進まず、構造化の流れに乗って、今の立場にいるんだと思う。
カップルを結成した当初は、「やめたくなったらやめる」とか、「他に好きな人が出来たらやめる」とか、そういうことを思っていたと思うけど、今現在、残っている人は、そういう構造化(結婚する)の流れに乗ったから、生き残っていると言えると思う。
つづく...
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