#97 閑話6ー物語に気付くということ

昨日は焼肉に。  夜9時に開始。  ビールを飲む間もなく、話をする間もなく、ひたすらに肉を口に運びつづけた。  対面に座った連れが、次から次へと皿に肉を放り込んでくる。  何年も前に盛岡で食べたわんこそばを思い出した。  お椀を空けるのを見計らって、後ろに控えたサーバーの店員が間髪入れずにそばを放り込んでくる。そんな記憶。  食べたそばから肉が盛られてくる。  焼くのは任せて、自分は完全に食べるのに専念している。    開始20分くらい、黙々とフードファイトを続ける。  肉食動物のように。  水面にぼちゃんと落とされた、血の滴る肉に群がるピラニアのように。    たまに、ごはんも食べつつ、ナムルにも箸を伸ばしつつ、熱くて辛いユッケジャンスープも交じえつつ。  一通り片付けたので、一息。  ビールをのどに流し込む。  ふぅ~・・・  ************************************  社会で生きていると、知らず知らずに、ある特定の物語を生きるように仕向けられる。  社内での昇進の物語であったり、家族内での父親としての物語であったり。  「ある特定の物語を生きる」  ということは、その集団内で自分に期待される振る舞いをする、ということ。    自ら望んでする場合もある。  「自分はこういう生き方をしていくんだ!」という定型を、自分で明確に設定する場合。  これは、人生の中で何度かは経なければならない儀式のようなものだと思う。  でも、多くの場合は、自分でも気付かずにそうしている場合だと思う。  自分でも気付かないうちに、その集団内で信じられている物語を生きること、定型をなぞることに参加させられるというか。  つまり。  生きる = いくつもの"物語"に参加する  という構図。  自分は人生に対して、そういう構図を描いている。  生きるということは、物語に参加するということ。  これから、どんな定型を追いかけたいのか。  今、どんな定型に追いかけられているのか。    この文章が、読んでくれた人が自分の身の回りにある、いくつもの物語に気付く手助けになれば、と思っている。  新たな生き方を模索するきっかけになれば・・・という、綺麗な言葉で片付けたいわけじゃなくて。  自分に即して考えれば、本当に役に立つと思っている。  「あぁ、自分って、こういう物語を生きたいと思っているんだな~。」とか、  「だから、これが出来ないことで悩んでいるんだな~」とか。  「あー、実は自分はこういう物語に参加させられていたんだな~。」とか、  「自分はその物語に乗り気じゃないから、今感じている"おもしろくなさ"は当然なんだろうな~」とか。     そうやって、自分の内面を分析できると思う。  分析できると何が良いかと言うと、今の感情を引き起こすものの正体が見えるということ。人間の感情は複雑だから、ピンポイントでは指摘できなくても、だいたいの構造が見えるはず。  で、自分の今の感情の原因が見えると何が良いかと言うと、気持ちに余裕ができると思う。  なぜか。  それは、「何だか良く分からないけど、嫌な気持ちだ。」とか、「何故かは分からないけど、もう何もしたくない。」とかになった時に、  「この気持ちは、〇〇という物語を生きているからこそ生まれるものだ。」  という解釈ができるから。  闇雲に悩まなくても良くなるというか。  敵の正体が分かるというか。  現在の自分のロケーションが分かるというか。   そんな気がします。  社交ダンス教師としての物語。  札幌市役所で働く公務員としての物語。   台湾からの留学生としての物語。  日本で働く韓国人としての物語。  妻としての物語。  父としての物語。  各々が生きるいくつもの世界に目を向け、そこに浸透する定型となった物語を知る。  何が目標とされて、何をすることが常識とされて、どういうふうに振舞うことが期待されているのか。  そんな物語の中身を知る。  そういうことをしてみたいと思っています。  そのために、それを知るために、まず、自分が自分の生きる定型に気付く経験を記録して、ノウハウのようなものとして、みなさんに提供できれば、と思っています。  そして、それを知った上で、"新たな物語"を紡ぎだすことにつながれば、と思っています。

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