#128 マスとローカル-2つの価値観β

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                             ≪つがいでしょうか。2羽が仲良く泳いでいます。≫

3日空けてしまいました。

自転車に乗っています。

なので。

よく、自転車屋さんのお世話になります。
仕事を始めてから、特に多くなりました。

いつも使う、近所の自転車屋さん。

昨日も行ってきました。
以前、頂いた自転車に、ライトとカゴをつけてもらうために。

お願いする時に、いつも思うことがあります。

 それは。

なんだか"ユルい"ということ。

修理が適当とかそういうことではなくて。
むしろ、修理とかは、さすが自転車屋さん!というぐらい、素晴らしいです。

では、何に対して"ユルい"と感じたかというと。
それは。
次のような、感じです。

************************************

行きつけの自転車屋さんは、
けっこう良い年齢のおじいちゃんがやっています(どんな年齢だ?)。 

だからといって、古めかしい、ちょっとぼろぼろの店構えというわけでもなく、
コンクリート3階建てのビルの1階にあって、けっこう広いお店です。
アルバイトの店員もいます。2人。

店内には有線がかかり、所狭しと新品の自転車が並んでいます。
50台くらいあるんでしょうか。

街角の小さな自転車屋さん、と言うには、やや規模が大きい気がします。


「今日中には仕上がるけど、いつ取りに来る?」
 
――今日は無理なので、明日の午前中でも良いですか?

「分かりましたよ。じゃあ、代車出すから好きなの乗ってって。
(そう!代車を貸してくれるんです!)」

――じゃあ、これでお願いします。

「じゃあ、やっときますんで。」
(奥に引っ込もうとする。)

・・・

――えっ?何か、紙に書かなくて良いんですか?

「紙って?」

――いや、引換証というか、受け取り証書というか。

「あ~、連絡先ね。じゃあ、名前だけ。」

――はぁ。いのうえです。

「いのうえさんね。そしたら、明日お待ちしてますんで。」
(奥に引っ込む)

――いや、電話番号は・・・

(もういなくなってしまったので、そのまま代車に乗ってお店を出ました。)

**************************************

大丈夫なのかな~。

それが本音。

何に対して大丈夫かというと。
 
あのおじいちゃん、誰に対してもあんな感じなんだろうか。

もし、修理をしたのに、引取りに来なかったら、お店にとって損失。
そういう時のために、相手の連絡先を聞いたり、
保管期間を決めたりする必要があるんじゃないんだろうか。

 服屋さんで、パンツのすそ上げをしてもらったり。
 クリーニング屋さんで、洗濯をお願いしたり。
 
修理や加工で、一時預かりになる所って、
だいたい連絡先を控えることになってるよなー。

だいたいのお店では、カーボン加工された紙に、
名前と連絡先を書くことになっているみたいだし。

ここに1つの、方針のようなものを見出せそうです。

 形式ばった契約書のようなものを排除する。

という方針。
 
口約束だけで、あとは、取りに来ようが来まいが関係なし。
来たら渡すし、来なかったら、・・・う~ん。どうしようか・・・その時考える。
そんな感じ。

あの自転車屋さんは、そういう方針でお客さんに接しているようでした。

とても、人情味あふれる方針。

「いついつまでに、これこれをしてください。」
という命令が存在しない世界。

こういう世界で、供給者と需要者を動かす原理は、信頼関係。
道徳とかモラルとかいった名前でも呼ばれそうです。

修理したのに取りに来なかった。
「また、あの人か~。
しゃーないなー。
今度会ったら、よく言っておかないとなー。(ちゃんと取りに来るように)」

そういう関係が成り立つ世界。
とてもほんわかした世界。
でも、お店にとって心配事も多そうな世界。

経済学の用語で言うと、
供給者側のリスクが極度に高いビジネスモデル。
 
なぜ、供給者側のリスクが高いかというと、
「顧客を管理する」という観点が乏しいから。

「顧客管理」って何かというと。 

例えば、キャンセルポリシーといったルール。

直前のキャンセルはキャンセル料が発生しますよ、
といったお客さんに課すルール。

期日までに取りに来なかったら、こっちで処分しますよ、保管料金を頂きますよ。

そんなルール。

そういうルールを、あの自転車屋さんは、採用していないようです。

だから、あの自転車屋さんの経営が成り立つのは、
昔から知っている信頼できるなじみのお客さんや、
そういう経営方針に、ゆるりとほだされたお客さんが
「取りに行くのが遅れたら、あのおじいちゃんに悪いから。」という気持ちになって、
結果的にお店の損にならないようになっている、
そういう構図なのかなと。

ガチガチのビジネスとしてやっていないような感覚です。

でも。
これは、ローカルだからできること。
対応する顧客が少ないからできること。
そう思います。

1人1人のお客さんの、顔と名前が一致する規模のビジネスだから出来ること。
  
100人、1000人規模でお客さんがやってくるのであれば、
「普遍的な」共通のルールを作らなくてはいけなくなる。

1000人全員を、1人の人間が、その外見や人柄なんかを総合的に記憶することは不可能だと思う。
そこで、「顧客管理」という発想が生まれてくる。

それが、ローカルからマスへの移行。  

規模の問題のようです。

この考え方を、今、自分のいる社交ダンスの世界に展開してみると・・・

以前書いた「普遍性」についての記事を再考しながら。

次回はそんなことについて書く予定です。

Little Star」も更新しました♪

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