#135 My life without me

CIMG4141.JPGのサムネール画像

         ≪小樽で買ったステンドグラス。ろうそくのあかりを幻想的に演出します。≫

以前、友人にDVDを貸してもらいました。

 

   画面が立ち上がり、暗闇からフェイドイン。

   

   サーサーと、静かに降る雨の中、1人の女の人が立っていました。

   かさもささず、裸足のままで。

 

   庭でしょうか、地面には芝が植えられています。

   その場に立ち止まり、時たまゆっくりと足を動かしています。

   彼女は目をつぶっています。

 

   「こうしていると、自分の感覚が研ぎ澄まされる感じがする。

    生きている実感を持てる。」

 

   おそらくその女性のものと思しき声が、そう告げていました。

 

 

タイトルどころか、ジャンルも教えられずに見始めたぼくは、

導入部の意味を理解しようと、

画面に釘付けになっていたように記憶しています。

 

「この後どういう展開になるんだろう?」と、

どきどきしながら見ていた気がします。

 

心がざわざわと、さざ波立ってくるのが分かります。

 

この映画が、いわゆるどういったカテゴリーに分類される映画なのかを理解しようと、

画面のあらゆるところに、その手がかりを見出そうとします。


     アクション?コメディー?ドキュメンタリー?ホラー?

     (映画のジャンルというものを良く知らないので、

      これぐらいしか思いつきません...)

 

     ジャンルは何?

 

女性の何気ないしぐさが、

この物語の中核を表象しているように思えます。

 

波風の立った心には、

ため息でさえも神のお告げに聞こえてしまいます。


               My life without me

 

 

場面が変わり、ほどなくタイトルがセンターに。


見ているうちに、

「あぁ、この手の話なんだな。」と理解し始め、

心の水面が徐々になぎ始めてきます。

 

そういう実感の後、だんだんと安心(?)し、

いつものような映画鑑賞モードへ。

 

こういった仕方で、映画を見ることがなかったぼくにとって、

これはとても興味深い学びの場でした。


つまり、事前情報が一切ない状態で作品に触れるという経験です。

 

逆に言うと、ふだん映画を見るとき、

ほとんどの場合、ぼくは前もって心の準備をしているということです。

 

      あぁ、これはコメディーだから気分を楽にして見よう。

      悲しい話っぽいから泣く準備をしておこうかな。

 

 

これから触れる作品に対して、

意識のチャンネルを合わせておく。


こんな感じでしょうか。

 

意識しているかどうかに関わらず、

自分はそういう心の準備をしているように思えます。

だから、

 

何の事前情報のない状態で作品に臨むとき、

作中の何気ない場面に対しても敏感に反応してしまうみたいです。


これは、映画に限りません。

 

絵画を鑑賞するとき、本を読むとき、料理を食べるとき...


 全米が泣いた!

 美術界の地殻変動!

 今年最高のミステリー!

 スイーツの最高金賞!

などなど。


宣伝文句であったり、自分の過去の経験であったり、

そういうものを参考にして、

作品に触れる前からそれに対する態度の根幹を組み上げておく。

 

 

       実際に自分の目で確かめてから評価する。

 

 

と公言する人も、

事前にインプットされる情報からは自由ではないはず。


まっさらの状態で作品に触れるということは、難しいようです。


ちなみに、この映画の中身はと言うと、

 

死期の迫った若い女性が、自分のパートナーとこどもに向けて、自分のいない生活へスムーズに適応していくための準備を、生前に行っていくという内容でした。ざっくり言うと。

 

人生でとても大切なことをテーマにしていた映画のわりに、くどくなく、さっぱりと心に響く作品だったと思います。ぼくは好きです。こういう映画。

 

今回はこの辺でzzz

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