#155 ほんまにオレはアホやろか?

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《ストレートな表看板 in 札幌すすきの 。ここのチョコレートパフェは絶品です。》
水木しげるさん。

今は、『ゲゲゲの女房』が放送されています。
続けて見ているわけではないのですが、おもしろいのです。

ぼくの父の実家が鳥取だったので、
小さい頃から鬼太郎に親しみ、
鬼太郎を寝物語に育ったと言っても過言ではありません(言い過ぎ?)。
そのせいか、今でも妖気を感じると毛が逆立ちます(うそです)。

『ゲゲゲ』シリーズは、妖怪の話なのに、
全然おどろおどろしくないタッチの絵です。 

他にも、水木さんの自伝的エッセイに

         『ほんまにオレはアホやろか
                   (新潮文庫2002年)

があります。

子ども時代、戦争従軍時代、紙芝居作家時代を経て、
漫画家になっていくまでのエピソードがつづられています。

特に、戦争時代。これがすごいんです。

南方の最前線ラバウル行きの時の話。
敵兵だけでなく、現地の土着民、ワニ、サメ、
マラリア蚊にもぴりぴりと神経をとがらせ、
その時その時に機転をきかせてピンチを切り抜けたくだりは、
本当に圧巻です。

そして、
ものすごい極限状態のはずなのに、
どこかほんわかとした描写のおかげで、
読む方はそんなにぞくぞくしない。

その代わりに、
「ありゃ!大変だ!」とかいった
ちょっと間の抜けたリアクションが出てしまいそうな、
そんなお話なのです。

その中から僕の好きな一節を。

  ・・・当時、ガダルカナル(ラバウルの近く)といえば、
     餓死を連想したものだから、
    「とても生きてかえれませんね」というと、
     そのバカ正直で善良な上等兵殿は、
    「そうだねえ」と強烈な一言。
     そこへもってきて、
    「でもねえ、そこへ輸送船がつくまでに、
     ほとんど沈むらしい」と、
     参謀本部よりも的確な一言でノックダウン。
    「こりゃあいよいよ、だめらしいな」と思って、
     あたりの景色をながめると、
     なんだか、バカにうつくしい・・・(p.82

こんな状況にあっても(だからこそ?)
いつもの景色が変わって見える。
しかも美しい方に変わって見える。

これってすごいことですよね。
ぜひご一読を♩

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