#39 自分のための物語-物語を作る男1

昔、ある先輩に言われたこと。

     
     「うつ病患者は、
     自分が悲劇の主人公になったつもりで
     生きているらしいよ。」


10年くらい前に、
そんなことを言われました。
 
今思うと、
なかなか強烈な言葉ですね。
 
うつ病が、
今ほど社会に浸透していなかった時です。

 
今の日本では、
100人に3人が罹病すると推定されているらしいし、
(『人生の軌道修正』和田秀樹)

心の持ちようとかではなくて、
誰がかかってもおかしくない
生物学的な病気だという認識が広まりつつある、
今とは違った時です。
 

     「暗いやつ=(イコール)うつ病」


という図式が、
今以上に強い力を持って
自分達の思考を支配していた時だったと思います。 


その先輩には、
ぼくが"うつ病患者"に見えていたようです。


その時のぼくは
彼女にふられたばかりの悲しみに支配された心で、

とにかく、
どんよりとしたオーラを
周りに撒き散らしていたように覚えています。


先輩の言葉を、
その時は「そうなんかな~」と
弱気に受け止めていたと思います。
 

自分だけの小さな世界に閉じこもり、
自分だけが悲しいような気になって、
そのうち周りにもそれを知ってほしくて、
必要以上の"演技"にすりかわっていく自分を
恥じていた気がします。


でも今は、

     それの何が悪いんだ!

と思います。
 


周りにも気を使わせることや、
周りにも自分の悲しみを強要するような態度は
良くないとは思いますが、

自分の中に閉じこもって
何やかんやと
今の悲しみと向かい合おうとすることは、
とても大切な行為だと思っています。

閉じこもっても良い。
いつかは必ず外の空気を吸いに出てくるんだから。

人間が100人いたら、99人は、
きっと、何らかの形で
外部の世界とのリンクを求めるはずです。

 
     「自分は今、こういう悲劇に参加していて、
     今まさに自分が主人公になっている場面が進行している。
     そして、
     この劇に参加することが、
     喪失感に支配された自分を癒す、
     現時点での有効な方法なんだろう。」


こういうことを自覚する。
 
悲しみに限らず、
自分の内部にわきあがる感情を整理する。

そして、

     自分が今どういうストーリーに参加しているのか、
     その中で自分はどういうポジションにいるのか、
     どんな役割を与えられているのか、

そんなことを
自覚的に考えてみることが
必要だと思います。
 

 自分が自分の作った物語の主人公になる。
 
 主人公にならなくても、
 自分の作ったストーリーの登場人物になる。
 

それは、
とてもすばらしいことだと思います。
 
本当にそう思います。

 
というか、逆に、

自分がどんな物語を生きているのか、
どんな物語を生きたいのか、

それを知らないと、

生きている意味が分からないと思います。


ぼくは、

生きていることに意味がほしいと思っています。
 

何のために生きているのか、
何を為すために生きてきたのか、

そんな意味がほしいと思っています。
 

そう思ってしまうんだから
仕方がないですね。
 
 
でもきっと見つからないんでしょう。

一生かけても見つからないと思います。

純粋に独立して自存する、
自分のためのそんな物語は、
きっとどこにもないと思っています。

少なくとも自分の外には。
そう思います。

だったら、
自分で作るしかない。
 
自分がこの世界に生きている意味を、
自分が作る物語に込める。


現代思想の言葉で言うと、

     「みんなが同じ夢を見ていられた、
     大きな物語が支配する時代は終わり、
     各個人が自分で小さな物語を
     つむぎださなければならなくなった時代になった。」

というところでしょうか。


これからの10年、
自分はどういう目標を持って、
それに向かうためにどういう場所にいて、
何を手段に選んで、
どんな人が周りにいて、
節目ごとにどんな小さなチェックポイントを設定して、
どんなルールを自分に課して、
日々をどう過ごしていきたいのかを思い描いて・・・


苗がその土地になじんで、
根が周囲に広がっていって、
幹が太く育って、
分かれていった枝が
各々の方向に伸びていって。

外気から栄養を採り込んで、
鳥や虫や動物が周囲にいて
生長を促されたり阻害されたり。

植物の生長する姿に、
物語の話型の1つが見える気がします。


そうやって、
脚本を書いていく。
 

10年じゃなくても、
1年でも良いし、
1ヶ月でも良い。
 

自分はどういう物語を生きたいのか。
それを具体的に考えていく。
「成り行きまかせ」という物語もおもしろいと思います。
周りは良い迷惑だと思いますが...


こういう脚本を、
日本や世界に対して描けるということが、
政治家や国際機関に身を置く人に
求められる資質だと思います。


自分にはそんなことは出来ないので、
ひとまず自分の来し方を記録して、
それから行く末について描いていきたいと思います。


ビジネス書なんかでよく言われる、

     「ビジョンを持つ」

とか

     「グランドデザインを描く」

ということを、
自分の人生に援用しているような感じですね。

 
ということで、
今回からは「物語を作る」ことについて、
いろいろ書く予定です。


物語を作ることについて、
自分の内面にあるものを
うまく言葉に結晶させれれば、
と思います。

 
これから、
選手会の旅行で
洞爺湖の向こうの方に行く予定です。

日曜日に行って月曜日の午前中に帰ってきて、
そのまま仕事に行くというサイクルにも
違和感を感じなくなってきました。

行きたい気持ちと
行きたくない気持ちがまぜこぜだけど、
天気も良いし...

 今回はこの辺でzzz

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