#101 ランとビジネス1

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《コチョウランと何かの植物。営業先にて。お花好きのオーナーの趣味です。》

 101回目。

これからの100回を、

どういう方向で進めていくか。

そんなことをぼんやりと考えました。


そこで。


動物とか植物とか、

何かの生き物を少なくとも1つはからめるということにしてはどうか、

ということを思い付きました。

 

もちろん人間も含めて。


何か、特定の意思を持って生きている存在から発想したことを、

自分の境遇に浅く深く関係付けて何かの文章を作る。

 

そういうテーマでやっていこうかなと。


ひとまず、そんな方針で始めたいと思います。

  

では。


************************************


ランという花がある。

コチョウランとかが有名だと思うけど。


わりと好きな花。

いろんな種類があるらしい。

  

 自分が購読している『NATIONAL GEOGRAPHIC』という雑誌に、ランについての記事を見つけた。(20099月号)

 

 色とりどりのランの写真の横に、マイケル・ポランという作家の文章が添えられていた。

 

 タイトルは、「ラン―Love Lies:甘美なる愛の罠」。

 おぉ~ おもしろそうだ。


 実際、おもしろかった。


 おもしろかった点を一言で言うと。

 

 「ランの仲間の3分の1が、蜜を対価に昆虫に花粉を運んでもらうという"一般的な"生存戦略を採っていない」、という点。


 ラン科の植物は、花を咲かせて種子を作る植物の中で、最多の25,000種を誇るらしい。

 とにかく種類が多いみたいだ。


 そのうちの3分の1という、決して少なくない数の種類が、植物の生存戦略として一般的な、"媒介受粉"(虫に花粉を運んでもらって次なる子孫を残すという戦略)に"蜜"という対価(虫への見返り)を採用していないという。


 ちょっと驚き。


 虫は、甘い蜜が吸えるから、ごそごそと花弁にもぐり込む。

 その時に体に付いた花粉を、雌しべまで運ぶ。


 昔、小学校(中学校?)で習った時の記憶は、そんなシナリオ。

 植物の生存戦略は、それがメジャーだと思っていた。


 でも。


 そのシナリオ以外の生存戦略があるらしい。

 虫たちを呼び寄せる"蜜"に当たるものが他にもあるらしい。


 それは。


 性的策略としての擬態。


 つまり、花弁を虫(例えばハチ)のメスの姿に似せて造形することで、盛りのついたオスが、一目散に突進してくるのを誘うという戦略。


 そして、もぞもぞと花弁にもぐり込んできたオスのハチの体に、たっぷりと花粉が付着する。

 騙されたと気付いたオスのハチが、今度は騙されないぞ!と意気込んで、遠く離れた所に飛んでいく。

 そしてそこでまた騙される。

 その時に、体に付いた花粉が雌しべに付着して、ランはめでたく"妊娠する"運びになる。

 

 そんなシナリオ。


 植物が動物を騙して、自分達の種の保存のために働かせる。

 「動けない」という自分達の弱点を補うために、ハチの生存戦略(交尾をする)を利用し、体良く自分達の遺伝子の運び屋になってもらう。

 

 なんだか、とても人間臭い。

 人間の世界の話に思える。

 それにすごいしたたかだ。

 

 「あのハチ、どんくさそうだから、その気にさせてこっちに来させてやろうか。そして、自分の花粉(遺伝子)を運ばせてやるか。ひっひっひっ・・・」みたいなことを考えてやっているわけじゃないと思うけど。ランは。


 でも、結果を見ると、まるで、そういう意思があるかのような進化を遂げている。

 

 ランという植物は、8,000万年も前からこの地球上に存在しているらしい。

 南極を除く、全地域に生息しているらしい。 

 

 長い長い進化の過程で、"蜜"以外の、受粉媒介者を誘惑する方法を編み出したんだろう。


 でも。


 記事にも書かれていたけど、ここで疑問が生まれる。


 ●なぜ"蜜"じゃいけなかったんだろうか?

 ●"性的擬態"よりも"蜜"の方が合理的な気がするけど、違うんだろうか?

 ●ランとハチは共存関係ではなくて、ランがハチを一方的に使役する立場なんだろうか?動けない植物が自由に動き回る動物を使う?

 ●"蜜"だった時には、ハチにも「甘い汁を吸う」というメリットがあったけど、"性的擬態"の時には、ハチはただ欲求不満(あると仮定して)がたまるだけなんじゃないだろうか?そんな非対称な関係って、長続きするんだろうか?

 

 などなど。


 ランの目的は、生存すること。繁殖すること。子孫を残すこと。


 そのための方法として、"蜜"ではなく、"性的擬態"が有効だと考えた(?)ランが

全体の3分の1もいるということ。


 上の疑問の中でも気になるのは、「その方法が、なぜ"蜜"じゃないのか?」。


 なんか、ものすごい、ランについてマニアックな内容になっている。

 そんなに「ランおたく」でもないんだけど・・・

 もう少し。


 今回、なぜ「ラン」の生態をとり上げたかと言うと、その生存戦略が「ビジネス」(自分の場合は"社交ダンス")にも通じると直感したから。似ているところがありそうだと思ったから。

 

 こうやって見ると、今後、ランを見る目が変わってくる。  


 次回は、この疑問に対する研究者の仮説を手がかりに、ビジネスとの関わりについて何かを書いていきたいと思います。


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