#156 自分の行動にはどんな法則があるのか?

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《札幌中島公園。水辺に浮かぶ中島の中島です。》
本日の人類学

人類学の研究スタイルのひとつに、

         ある集団に特有の価値観を発見する

というものがあります。

例:関西人はご飯を食べにいくと、お店の人に必ず
 「ごちそうさま。おいしかったわ〜」
 といった言葉をかけていく(By ケンミンSHOW)。

  姿勢が良いということが「善い」ことになっている。
 (姿勢が悪いと、「ああ、あの人まだ初心者なんだな。」とか、
 「あの人は先生じゃないんだな。」という評価を受ける。)

例:社交ダンスの世界にある2種類の部門(スタンダード/ラテン)には、
  各々にイメージがくっつけられていて
 (前者を得意な人はエレガント、紳士的、冷静・・・
  後者を得意な人は、情熱的、本能的、躍動的・・・)、
  人々は自らそのイメージを体現しようとしている。

とか。
(他の例は『社交ダンス教師という仕事』をご覧ください。)

そして、
それが、その人達にとってどういう意味があるのかないのか、とかを提示して、
「ああ、自分たちはこういう原則に従って行動していたんだな。」
という気付きを提供する。

こういう「役に立ち方」が人類学にはあると思います。

なので。

人類学をビジネスとして考えると、
商品は「気付き・知識」、
生産者は「研究者」、
消費者は「全人類(自分も含めて)」

こんな感じでしょうか。ざっくり言うと。

ただ、

この「気付き・知識」の生産に関して、近年の議論を見ていくと、

以前は(1920年頃〜)、

     「社会には、誰が参加しても同じような行動をとらせてしまうような、
      "台本(プログラム)"のようなものがあって、
      役者が変わっても同じ演目が上演される」

ので、
研究者の仕事は、
この"台本(プログラム)"を発見することだと考えられてきました。

しかし、1980年頃から、
      
      「いやいや、社会にはそんな固定された"台本"なんてものはない。
       だから、人もそんなものに従って生きているわけではない。」

という議論が登場してきました。

そして、

研究者に求められる仕事も"台本"の発見ではなくなってきました。
では、何がこれから求められる仕事か・・・
それについての議論はこれから勉強します。

が、だいたいの感じで言うと、

「"人は○○の法則に従って行動している!"という目でこの世界を見るのではなく、
"人はその時その時によって何をするか分からない"という前提に立って、この世界を見ていく」
ことが求められているのかなと。

そして、そこから生み出されるものが、
人類学が社会に出荷できる「商品」かなと。

そんな感じがします。

確かに、

「あなたは無意識のうちにこんな法則に従って行動していたんですよ。」
と言われても、
「ああ、そうだったのか!これからは、それを自覚しよう!」と前向きにとらえる場合よりも、
「どうですか?知ってましたか?知らなかったでしょ?」
と言われているようで、失礼に感じる場合が多い気がします。

人間の行動を支配する法則を(あったとして)素直に受け入れられない感情があるというか。
ぼくならそう感じます。

だから、
ぼくは占いとか運命があんまり好きじゃないのかもしれません。
自分の知らないところで、自分を支配されているようで。

もし、
「あなたはこういう法則に従って行動しているんですよ。」
「あなたの行動は、実はこういう法則に従っていたんですよ。」
と言われたら、
ぼくは、その法則から出たいと思うと思います。

ぼくに限らず、
「ああ〜そうだったのか。それに従っていれば安心だな〜。」
と思う人は、あんまりいないんじゃないでしょうか。

以前ぼくは、
法則の発見を至上目的だと考えていたのですが、
どうもそれだけではない、と思うようになりました。

知るごとに、考えるごとに自分の考えが修正を迫られます。
変節を恐れず、
勉強したことを新鮮に取り込んでいきたいと思います。
人類学とは、人間の行動を「説明すること」を目的としていると、
ぼくは理解しています。
その説明の仕方をこれから勉強していきたいと思います。

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